最高裁判所第三小法廷 昭和31年(あ)1319号 決定 1958年6月17日
主文
本件上告を棄却する。
当審における訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
弁護人大島正恒の上告趣意について。
しかし、あへん法にいうけし栽培者でないのに、けしの種を畑に播いて、これを発芽生育せしめた以上、その後においてあへんを採取することなく、右けしを引き抜いたとしても、同法四条違反の罪の既遂をもって処断すべきものであるから、これと同趣旨の原判示は正当であって、同法の解釈を誤った違法は存しない。従って所論違憲の主張はその前提を欠き、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
よって同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己 裁判官 高橋潔)